東京スクール 最終発表会が開催されました。

  • 2014.03.03
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プレイベントのファシリテーター吉田典生さんもスペシャル参加。全国で34の事業が生まれていること、そして、この発表会を契機に各地でいよいよ事業化に向けた動きが具現化していくことへの期待が語られました。

最終発表会のファシリテーターは、公認会計士の小泉博之さんです。小泉さんはこれまでに通算500件以上の事業計画を審査した経験をお持ちですが、過去の経験では、いい事業については、発表会の後に審査員が個別に声がけするケースもあったとのこと。この発表で目を引く企画があれば、もしかしたら資金も動き出すかもしれないというコメントに、会場の期待感もより一層高まります。

東京スクールの審査員は、帝京大学教授で、一般社団法人ソーシャルファイナンス支援センターの代表理事の澤山弘さん。そして、プレイベントのゲスト、プロフェッショナル・コネクターの勝屋久さん、経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー対策課の平野かおりさんです。

東京スクールからは、全7チームから、各グループあたり10分のプレゼンテーションが行われます。それぞれのグループの発表の後、シンキング・タイムの間、プレゼンテーションを聴いた参加者(まちエネ東京スクールメンバー)から「ギフトメッセージ」として、発表チームに付箋に書いたコメントをプレゼントします。その後、会場からの質問、そして審査員の方から1~2分のコメントをいただく形で進行します。

プレゼンテーション・タイム
1)まちエネシフト@世田谷(リーダー:浅輪剛博さん)
「まちづくり×エネルギーシフト 市民出資発電の売電益をまちづくりに再投資するモデルづくり」

<発表概要>
都市部で発電を行うには、公共機関の敷地がいい。その際、市民発電の強みは、発電だけではなく、新たなまちづくりに発展させる力。
昨年下北沢の教会の上にソーラー発電を設置し、売電益の1/4を地域のエネルギーシフト開催などに役立てている。この発展モデルの展開を想定。事業予算400万円のうち100万円を寄付金で集め、売電益を活用して、太陽光だけではなく、未利用エネルギーの活用、断熱改築などを通じて、緑を増やし活気溢れるまちづくりを目指す。世田谷区内の学校施設の活用なども視野にいれたい。「がまんの省エネから快適なエネルギー生活へ」をコンセプトに、エネルギーの効率利用を目指す。効率化のために拡大も。
キーパーソンは、再エネ推進に積極的な、世田谷区長。行政とも連携してまちを元気にする発電事業を推進したい。
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<審査員コメント>
澤山さん:
地中熱は日本では殆ど知られていないが、簡単に言うと井戸水。夏は地中の水を吸い上げ冷房に、冬は温かくという考えだが、都内で再エネの資源がなかなかない。都内には等々力渓谷がある。そういった所を掘り、パイプを通して熱交換するようなことも考えられると思うので保坂区長に働きかけてみたらどうか。

勝屋さん:
世田谷は魅力的なまち。この事業から生まれる楽しさや喜びをもっとプレゼンテーションに盛り込むとより魅力を感じられるものになるのでは。

2)チームBEE(リーダー:田中稔さん)
<発表概要>
事業の柱はふたつ。1つ目は、市民共同発電事業を進めている事業者の支援。事業の全プロセスをすべて自前でできる場所は少ない。現場に入り実務を支援する、やってみせるコンサルティングを提供する。東京以外の場所での設置場所探しも行う。2つ目は、住宅ソーラー設置の支援事業。既に2009年から生協に対して実施しており、利用者からはいい評価を得ている。事業の採算について、1は年間10基、200KW以上を目標に。2は斡旋かどうかで変わる。
この事業の目的は安心で持続可能なエネルギー社会の次の世代に残すこと。再エネを進める上で、普通の人たちを多く巻き込んで行く事が大事。国の政策に働きかけることばかりを目指すのではなく、ローカルで進められることを検討し実施していくことが大切だと思う。地熱やバイオマスの重要性も含めてエネルギー基本計画に書き込まれるようなことも大事。市民がルール形成に携わる成功事例を積み重ねていきたい。例えば、流山市環境講座では各ブースで10分の話を聞くとクーポンを漏られるなどというしくみを作り、500人を超える参加が生まれた。講習会に参加することで意識が変わるという事例もある。これらを踏まえ、市民発電の推進に貢献する事業を目指したい。
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<審査員コメント>
澤山さん:
ビジネスモデルに盛り込まれた数字は妥当だと思うが、事業者数が増えて行かないと採算が合わない。特に東京の場合は、出資者はそれなりに集まると考えられるし金融機関のファンドもあるが、屋根探しが大きな問題となる。こういった課題を解決し取り組んで欲しい。

勝屋さん:
関心ない方にどう伝えるか、ソーシャルネットワークの力をどう活用するかがキーとなる。

田中さんの返答:
場所探しが課題。人を集めるのも課題。温暖化フェアに参加するような人たちは、もともと意識が高い。普通の人にきてもらうにはインセンティブが必要。市民発電は1年間700万円の事業も成り立つ。そういうところに地域の人達がアイデアを出す余地があると思う。ソーシャルネットは、自分自身はあまり得意でなく取り組んでいないが、それを得意とする人と連携して、進めていきたいと思う。

3)地域分散型エネルギーを考える会(リーダー:片桐轍也さん)
<発表概要>
多摩ニュータウンを抱える多摩市での事業を、我孫子市や横浜市で暮らすメンバーと共に考えた。我孫子には沼もあり可能性ありそうだが、ミドルソーラーの事業採算性が厳しい。調達コストが高く意義を見いだすことが難しくなっているが、一方で公共設備の老朽化などに合わせて再エネ推進型にできないか、太陽光以外のエネルギーの普及も含め検討した。3.11を経て、東京でこそ再エネを推進すべきと考えている。可能な限りエネルギーの地産地消に結びつく動きをつくりたい。
多摩市で市民発電所は3年間で2MWの発電を目標としているが、これだと市民1人あたり0.32%に過ぎない。世田谷区は三浦市の土地の有効活用という気計画を出している。連携による調達の効率化、エシカルビジネスへの訴求等。多摩センターにある真空のゴミ収集管路を活用しての発電も考えたい。
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<会場からのコメント>
太陽光パネルの訪問販売をしているので、どこにパネル設置の候補地があるかについては把握しているが、市民団体アレルギーがありなかなかうまくいかない。事業者と市民団体の活動をうまく連携させることで、再エネ普及に取り組めないかと考えている。訪問販売は不信感をもたれがち。第三者的・客観的な人が入るなどで信頼を持たせる方法も考えられるかもしれない。;

澤山さん:
管路は使えるか?(片桐:想定している、検証はしていない)
ここ1-2年で屋根が難しい中、東京ならではの企画として興味深いので、是非市長に働きかけて欲しい。規模別の買取制度は世界では常識。価格差には仕方のない部分もあるが、市民発電を進める上では、小規模のものに対しての金額の設定を認めるようにと提言したい。(会場から拍手)

勝屋さん:
経営指標は大事。人がポイント。どんな人を社長にしたいかなど、イメージを具体化することで形になっていく速度もあがると思う。

平野さん:
経産省では総務省と連携し、地方自治体に、まちを上げて再エネを推進する事業を選出・支援する事業を進めているので、是非活用を考えて欲しい。

片桐さん:
事業づくりが得意な人と結成して実現に向けて詰めていきたい。

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4)里山の未来(リーダー:大島たまよさん)
<発表概要>
浜松市天竜地区は9割が山林の典型的な中山間地。林業衰退や茶葉の価格崩落により経済衰退、過疎高齢化が進んでいる。広大な土地や建物が低価格で入手可能であり、日照時間が日本一。強い風の吹く土地であり山間部の10基の大型風力発電も設置されている。
オフグリッド住宅をつくることで中山間地のショウウインドウ化を図りたい。ソーラパネル4枚で1軒分の発電ができるため大きな設置は不要。再エネの体験施設などを作り、また林業・農業体験を組み合わせたり、オフグリッドの宿泊設備を将来的につくるなどが考えられる。古民家を使うことで空き屋対策にもなる。ソーラーシェアリングはある程度の日陰が必要な茶の栽培にも向くし、小型風力発電を組み合わせること考えられる。土地つきの中古住宅(100-200万円程で入手可)を入手。市民出資型も想定。都会や街場に暮らす人を対象に。また、発電や農業・林業の体験、自然体験と組み合わせることで中山間地に人を呼び込むことに結びつけたい。都会の友人たちに先ず入っていただきそこから広めたい。
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<会場からコメント>
劇団四季は電通とタイアップし、修学旅行の生徒達が訪れる仕組みをつくった。そういったダイナミックな動きができる集団を巻き込むのも即効性のある手かもしれない。

<審査員コメント>
澤山さん:
ワクワクするような話で嬉しく思います。地域に行くとやれることがたくさんあると感じる。自分は霞ヶ浦のある茨城で地域の方とソーラーを進めている。天竜川は誰もが知っているブランドの土地。魅力あると思う。すべてを自分で集める必要はない。50キロワットだけではなく、少なくとも200キロワット分を確保し、その規模かんで。金融機関から資金を得ることも含めて検討するといい。

勝屋さん:
目に見えない価値も含め、出資者や広く関わる方と何をつくり、どのような関係をつくりたいのか明確にしていくといい。トビムシという会社では間伐材で素晴らしい商品をつくり販売して業績をあげている。岡山県の西粟倉の牧さんのプレゼンテーションは世界観がある。この話を聞くと皆ファンになる。そこでは「100年の森を守りたい」という体験ツアーを提供している。関わる人も夢中にさせるプレゼンテーションを聞きたい。

5)納得度ナンバーワオン(リーダー:坂東誠さん)
お日様日本一の静岡にDIYパネルを設置して、太陽光発電を行う、DIYパネル太陽光発電、竹・間伐材でバイオマス発電。そして、汚泥によるバイオガス発電・堆肥の活用を行っていきたいと思っている。普及啓発活動そのもので事業化は難しく、既存の温暖化対策活動団体のオプションメニューとして展開させてもらうことを検討中。静岡県の東部での展開を目指して、行政や再エネ事業者とも連携し、そこそこ都会、そこそこ田舎の静岡で進めていきたい。
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<審査員コメント>
澤山さん:
獣害は全国的にも深刻な問題。漁師の高齢化で対策が追いつかないところを檻に捕獲しているが、そういったことなども念頭におくとよい。太陽光は20年の事業。何が起こる分からないため、最低限保険に入ることで自然災害等からのリスク管理を。

勝屋さん:
具体的にどんな人にきてもらいたいか(<静岡県の都市部の人に)。
訪れる人にとってのメリットを示していくこと。お金よりも体験、というような、ここでなければできないことを示すことが大事。その魅力の源泉となるのは、人。この人に会いに来たい、この人だったら応援したいという人たちを見つけていくことが大事。例えば、インキュベーションオフィスとつながっていくと、よいかもしれない。

<審査員コメント>
澤山さん:
獣害は全国的にも深刻な問題。漁師の高齢化で対策が追いつかないところを檻に捕獲しているが、そういったことなども念頭におくとよい。太陽光は20年の事業。何が起こる分からないため、最低限保険に入ることで自然災害等からのリスク管理を。

勝屋さん:
具体的にどんな人にきてもらいたいか(<静岡県の都市部の人に)。
訪れる人にとってのメリットを示していくこと。お金よりも体験、というような、ここでなければできないことを示すことが大事。その魅力の源泉となるのは、人。この人に会いに来たい、この人だったら応援したいという人たちを見つけていくことが大事。例えば、インキュベーションオフィスとつながっていくと、よいかもしれない。

6)まちエネグランプリ事項委員会(リーダー:鈴木利和さん)
<発表概要>
次の世代にエネルギー問題の解決の先送りをしないため、再エネに取り組む人たちをつなげる活動をしたい。地域のさまざまな取り組みを知ることで、自分たちにも出来るかもしれないと考えられるようになる。つながり合う場となる、人間発電所をつくることを目指したい。まちエネグランプリでは、各事業のステップごとに役立つ事例をたくさん紹介する。先ずfacebookでグループを立ち上げ1000人とつながり、サイトをつくり、質問解決型のコンテンツをつくりコンテンツとして整理。役立ったという評価の多いところが表彰されるというグランプリを想定。
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<会場からのコメント>
社会貢献を活動目的に掲げるロータリーやライオンズクラブ等を巻き込んでゆくとよいのではないか。全国に宿泊型のコミュニティスペースがあるが、互いが互いのことを知らない。ここに連携が生まれると変わっていく。

<会場からの質問>
運営スタッフは?ボランティアベース?

鈴木さん:
基本はボランティア。既存のコミュニティを活用し、そこで希望者からお金を集めるという方法を検討。常に集まる場があると事業をスタートしやすくなる。

澤山さん:
いいプランだと思う。助成金などを活用して事業化を目指してはどうか。それぞれの人たち、団体は自分たちでつながりを作っていたりもする。人と人とのつながりは自然にできてくることもあるが、ネットを活用して進めるのがよいのではと思う。ノウハウの共有化のニーズはある。市民電力連絡会など既存のものとつながり、助成金を得ていくとどうか。

勝屋さん:
ネーミングをまちエネオタクグランプリのようにしてはどうか。再エネオタクがたくさんいる。ネーミングを面白くするとよいと思う。各地のまちエネ大学を訪れると、それぞれの地域にコネクターとなる人がいることに気づく。それらの人たちをつないでいくことが大事。たとえばまち大学とつながり、フィルタリングされたクオリティの高い人たちのつながるデータベース化ができたら素晴らしい。

7)チーム半農半電(リーダー:中山弘さん)
<発表概要>
脆弱な日本の食とエネルギーの自給率。東京は両方とも1%以下と言われている。この状況を踏まえ、東京でソーラシェアリングを広めていきたい。農家の収入倍増、エネルギーの他、農業体験による健康改善、自然体験などの展開も期待できる。東京学芸大宅小金井キャンパスや慶応義塾大学藤沢キャンパスなどを候補地として検討。中野の明治大学のキャンパスでも是非進めていきたい。
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(半農半電チームを応援中という東京大学教養学部の松本真由美准教授からも、是非ソーラーシェアリングを応援していきたいとのコメントが)

<審査員コメント>
澤山さん:
昨年4月から農林水産省が要望を受けて認めたソーラーシェアリング。広めるためには保険加盟を認めてもらうことが必要(<現状、保険業者により加入可能)。不耕作地が多いが・・(<そこにパネルをおき耕作を始めるならば可能。農業を継続しながら次世代に続けるシステムを進めたい)。

勝屋さん:
とてもリアリティのある話。これからの時代、食の確保や信頼関係、顔の見えるコミュニティ、そしてエネルギーが大切。何かに取り組んでみたいという気持ちになれるプレゼンテーションであり、応援したい。

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(卒業証書授与)

皆さんの発表の後に、お忙しい中、会場に駆けつけてくださった第3回目の講師、水上弁護士からもコメントをいただきました。
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「今回のプレゼンテーションを聞いて、具体化が進んだと感じました。例えば、ソーラーシェアリングだったら農協に資金があるのでは。また、ソーラーシェアリングを行うことで市民農園を安く貸し出せるモデルと結びつけるなどできると面白いのではないか、など、皆さんが具体的に動いていったことは素晴らしいと思います。と思います。素晴らしい発表をありがとうございました」

その後、審査員の皆さんから、全体を振り返ってのコメントをいただきました。

澤山さん:
再生可能エネルギーの事業化は都会ではなかなか難しいと言われるところ、未利用エネルギーの活用など、皆さん工夫して考えていると感じました。一番ワクワクしたのは、天竜での「里山の未来」プロジェクトです。東京からも近い場所ですし、これからの展開に期待したいです。リアルに進めるのであれば、もう少し規模を大きく検討していただけたらと思う思います。そこで考えていただきたいのが融資の活用。お金の地産地消が求められています。市民ファンドは、なかなか簡単につくれないですので、金融機関等が入っていれば動かせるスキームがあるためそれらの活用を検討して欲しいと思います。
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勝屋さん:
素晴らしいプレゼンテーションありがとうございます。これほどまでに言葉化する作業を進めることは大変だったと思います。私の場合、3年前に会社を辞め資産ゼロからスタート。やりたい事はなにか、プロフェッショナル・コネクターという言葉化するのに1年半悩みました。言葉化すると、応援してくれる人も現れてきます。皆さんが事業計画をつくりながら言葉化のプロセスを踏んだことは素晴らしく、一人ひとり輝いていると感じました。皆さんにとってこの事業とは何なのか、自分の人生と向き合って考えていっていただけたらと思います。
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また、第二回講師だった大和田順子さんからもコメントをいただきました。
「第二回講師として全国を回らせていただきましたが、東京スクールでは、里山の未来と、中山さんのソーラーシェアリングに注目しています。アクティブシニア、女性、若者に注目しています。記念すべき一期生。市民による、地域発の発電事業をいうことで、今後も期待して見守っていきたいと思っています」
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経済産業省の平野さんからは、「まちエネ大学という、初めての試みでしたが、多くの皆さんに参加いただけてよかったと思います。参加した皆さんから、今後よりよいプログラムをつくる上でのご意見を是非いただきたいです」とコメントがありました。
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ここから、いったい、いくつの事業が育っていくでしょうか。まちエネ大学では、今後も皆さんの活動に着目しつづけると共に、参加された皆さんを結びつけるための企画を考えていきたいと考えています。
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