京都スクール最終回、優秀賞は美山里エネプロジェクトに決定!

  • 2015.02.22
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京都スクール最終回となる事業プラン発表会が平成27年2月17日(火)、京都市にある京(みやこ)エコロジーセンターで行われました。京エコロジーセンターは京都議定書が京都で採択されたことを記念して建てられた建物ですが、折しも前日は京都議定書が発効してから丸10年という節目にあたり、これまでの経験を活かしながら、各地の取り組みも更なるステップアップが期待されるところです。

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まずはいつもの、そして最後のアイスブレーキングです。「パーでんねん」の南村さんも最後ということで少しさびしそう?です。

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事業プランの発表に先立ち、審査員のお二方が紹介されました。

山口勝洋さん(サステナジー株式会社代表取締役)「飯田や備前での市民出資による再生可能エネルギー事業のときには京都の人たちにいろいろお世話になった。今日はその恩返しができれば」

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秋野稔さん(京都銀行営業支援部地域活性化室長)「いつもはしかめつらしい顔をして融資の審査に関わっているが、今日は皆さんの発表を楽しみにしている」

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ファシリテーターの下村さんから今日の流れの説明があった後、いよいよ3グループの発表です。

【交野市での太陽光市民電力(リーダー:今谷浩昭さん)】

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≪発表概要≫

この1年いろいろと検討してきて、最近やっと太陽光発電のできる場所(更地)が確保できそうだ。そこで市民が体験しながら学ぶ場を「みどりパワーふれあいセンター」としてつくりたい。太陽光発電を1kW設置。資金は交野市みどりネットの予算の枠内で考える。みどりパワーふれあいセンターでは体験学習やエコクッキングなどの活動を実施。初期費用としては総額50万円程度で、活動費用はボランティアで考えている。行動できる人材がなければ事業はできないので、仲間集めが第一。小さく産んで大きく育てたい。

≪会場から≫

Q:体験学習の対象者は?

A:地域の子どもや大人を巻き込んだものにしていきたい。

≪審査員から≫

山口さん:みなさんのようなコアの方々と周りの応援されている方々、行政も含めてそこの関係性が活動の強みだと思う。大きく育てるということで言えば、ボランティアベースから、人件費を稼げる事業規模の活動にすることが必要。

秋野さん:普及啓発のところで皆さんの活動の意義がある。今後は更に大きなビジョンづくりに期待している。

【エネルギーや衣食住をシェアする暮らしのコミュニティ】(李勇熙さん)

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娘が生まれたことで、子育てや暮らしの安心のことについて考えるきっかけができ、また出張先で東日本大震災に遭遇したことからエネルギーについて考えるようになった。また、在日韓国人三世でもあるので、マイノリティーが分け隔てなく共生できる社会について考えてきた。それらを解決するための場作りを、シェアハウスという形で実現したい。エネルギーの面では、6kWの太陽光発電を設置してシェアハウスの消費電力量をまかなう。必要な資金は約330万円 自己資金と借入でまかないたい。

≪会場から≫

Q.エネルギーをできるだけ少なく使うという視点が感じられた。

A.その通りだ。シェアという手段を通じてそこを追求したい。

≪審査員から≫

山口さん:これからの時代を考えると、エネルギー自給を基盤としたライフスタイルの提案というのは非常に大事。今後は資金の得る方法や、建物の法律的な課題など、もっと具体的なところの検討を通じてぜひ実現してほしい。

秋野さん:エコビレッジの魅力を十分に伝えてもらった。エネルギーのところだけでなく、コミュニティ全体の事業計画、コストに見合った収入(例えば家賃など)を確保できるかというところをぜひ検討してほしい。また行政のサポートや、地域の中でスキルを持っているひとのサポートをどう得るかというのもテーマ。

「美山里エネプロジェクト」(神田貴夫さん)

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≪発表概要≫

本業は京都の山村地域で旅館を経営している。今日の発表のメインは小水力発電の事業化を通じて地域を活性化していこうということ。近隣のかやぶきの里への観光客は増えているが、わたしたちの集落は限界集落化している。そこで、再エネをきっかけとした魅力的な地域おこしを事業として実施し、雇用や観光客増加につなげたい。小水力は落差を活用するタイプ(30kW)と、観光資源としての開放型水車を1期ずつ設置。また小型風車やバイオマスエネルギーも活用したい。廃校となった小学校などを拠点として観光資源の開発も行い、エネルギーと合わせて会社組織を作り、働いてもらう。そして他地域の発電事業の立ち上げ支援もしていきたい。

≪会場から≫

Q、こうした取り組みを応援するための寄付金付きのボランティアを募集してはどうか?

A. 面白いですね。

Q. 地域の人とはどう関わっていくのか?

A. 高齢者が増えて、買い物に行くのも不便な方が多い。売電収入でそうした方々への移動手段の運営や、祭りの支援などを考えている。

≪審査員から≫

山口さん:小水力の計画についてはリアリティが感じられた。風力はその規模ではなかなか事業としては難しいだろう。後は木質エネルギー。石油をどの程度の量置き換えられるかという熱需要調査をおすすめしたい。事業体の人的構成としては、地元の中小企業の社長さんあたりにリーダーに入ってもらうと、金融機関からの融資が格段に受けやすくなる。

秋野さん:事業プランは魅力的だ。会社の構成については、融資ということを考えると責任のトップは決めてもらいたい。コストの計算の精緻化とキャッシュフローの検討。あとは、最初に手がけるべき事業の絞り込みが必要ではないか。

以上で、全グループの発表が終わりました。

各グループの発表について、他のグループ、そして聴衆のみなさんからコメントが寄せられます。

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そして優秀賞を決めるべく参加者から投票ののち、審査員の投票となりました。

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投票結果の発表です。接戦の結果、優秀賞は「美山里エネプロジェクト」となりました!

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以下チームリーダーのコメントです。

神田さん 「今日のプレゼンが夢物語に終わらないように、ご指摘も含め、事業体制も考えていきたい」

李さん「まちエネ大学に通いだしてから、自分の中で考えがどんどん更新していくことができた。本当に物件を探しているので、いいところがあったら教えてほしい」

今谷さん「いろいろアドバイスをいただきありがとうございます。最初は不安だらけだったが、今まで学んできたことを活かしていきたい。反転授業というものが非常に効果的だということもわかった」

最後に審査員の総括がありました。

<山口さん>

それぞれの発表が素晴らしいと感じた。これから実現に向けてがんばってください

<秋野さん>

皆さんが地域やコミュニティに対する熱い想いを持っていることを感じられたのが嬉しかった。こういうプレゼン発表会では、ともすると事業の採算性の議論に終始するが、それを超えたものを今日は感じることができた。

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最後に下村さんから、「まちエネ大学で培われた縁を生かして、これから地域を元気にしていきましょう!」というエールがあり、終了です。

これからの京都発まちエネ事業に乞うご期待ください。(了)