山陰スクール、多彩な6プランが発表されました

  • 2014.03.13
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3月7日(金)、松江市のくにびきメッセ小ホールにて、山陰スクールの最終発表会が開催されました。公認会計士の小泉博之さんをファシリテーターに迎え、以下の5名の方が審査員を務めました。

・長谷川陽子さん(有限会社Willさんいん代表取締役社長、まちエネ大学山陰スクール地域ファシリテーター)
・江木眞さん(山陰合同銀行 地域振興部 事業支援グループ)
・井上光悦さん(山陰合同銀行 地域振興部 地域振興グループ)
・勝屋久さん(プロフェッショナルコネクター)
・北村貴志さん(資源エネルギー庁)
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山陰スクールからは全7チームの内6チームから発表がありました。各チームあたり10分のプレゼンテーションの後、審査員からのコメントの他、参加者からは発表チームに対して「ギフトメッセージ」と呼ばれるコメントが渡されます。

有福温泉地熱発電+カスケード利用支援プロジェクト」(リーダー・発表:石倉昭和さん)
島根県江津市の有福温泉で地熱発電(温泉発電)事業の展開を目指している。温泉の余熱を使って発電する発電事業と、発電後の熱水のカスケード利用を組み合わせてトータルで地域活性化する。総事業規模は1億7600万円で発電量は41kWを想定。ポイントは新たな生産井(熱水を獲得するための井戸)を掘削し、その費用も含めて回収すること。有福温泉は昔から仕事をしている地域であり、また、地域に事業に対して意欲的な方々がいるので、その方達と一緒に地域の活性化を実現したいと考えている。主要地権者や関係企業などに出資してもらい、新たな事業会社を設立して、生産井を掘削、発電事業と付帯事業(温泉水供給)を行いたい。具体的にはビジネスモデル構築、地熱ポテンシャル把握、地元合意形成・理解促進の3つの取り組みを同時並行で推進。ビジネスモデル構築では資源エネルギー庁から「新エネルギー等共通基盤整備促進事業」の調査費を頂いて調査しており、地熱ポテンシャル把握では経済産業省の外郭団体でJOGMECという独立行政法人から地熱資源開発調査による地表調査の補助金を得て調査していく。地元合意形成・理解促進では経済産業省の地熱開発理解促進事業を通じ、地元の勉強会、研修会を開く費用の助成をしていただきたいと考えている。補助金を使用した調査や取り組みが多いのは事業リスクを低減させるため。まちエネ大学を通じて事業実現に向けたネットワークも広がった。有福地域では発電事業によるまちづくりのインパクト、熱水供給による温泉施設などの付加価値向上、温泉発電地という視察や修学旅行等による交流人口の拡大といった効果を狙っている。非地熱地帯でも温泉発電ならできる可能性があり、新しい生産井を掘削することになったとしても可能な事業モデルを構築することで、地熱発電への理解を深め、日本の再生可能エネルギーの拡大に貢献する。
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長谷川さん:
ビジネスプランとして精度が高く、すぐにでもビジネスモデルになると思うが、直近の課題とは何か。その地域のコミュニティ形成とどうリンクするのか。(返答:直下の課題としてはリスクが多く、特に発電できるようなお湯が出るかという開発リスクによる資金調達の困難。地域連合会が前面に出て5年10年先の町をつくらないかと呼びかけ、それぞれの権利者関係者の同意を得て、行政なども含めオールラウンドで進めている。)

江木さん:
大分では地熱発電に対して、資金調達ファンドを立ち上げ、リスクマネーは出資金で賄うという形をとっている。山陰の適地でないところで成功させるというのがこの事業のポイントとなっている。山陰は他にも温泉地があり、山陰合同銀行でもキャピタルを持っているので、ファンドが作れるくらいになると楽しみだ。

勝屋さん:
有福温泉のHPがとても良い。非地熱地帯で温泉発電というところがベンチャーらしくて素晴らしく、色々な地域に勇気を与えてくれそう。この事業をやった先に有福温泉の人達がどういった幸せを享受するのか具体的なイメージが聞きたい。(返答:新しい環境教育の場として先駆けになる。地域に住む人達が自分達の土地に誇りを持ち、今の子ども達が次世代につなげていける地域であってほしい。このプランの話をすると交流してみたいと言ってくれる人が実際にいて、都会からわざわざ来てくれるという事は自慢になり、活性化に繋がるのではと思っている。)

「薪ライフコンサルティング」(リーダー吉田誠司さん、発表:吉田さん、森藤さん)
薪エネルギーを中心とした、豊かな暮らしの提案ということで薪の製造販売事業を考えている。再エネとしての「薪」の特徴は儲からない・発電じゃないという感じがするが、メリットは薪からエネルギーを発生させることそのものが楽しいということ。また、島根県は森林率が全国3位であり資源が豊富である。天気にも影響されないし、資源調達にお金がかからない。デメリットは生産するのも利用するのも大変ということ。だが、視点を変えてもらうことで「めんどくさい」を「楽しい」に変えられるし、「めんどくさい」は仕事になる。小さく、安く、簡単に始められて長く使えるので、小規模でも数が多くなれば何とかなるのではないかと思う。どうやったら事業になるかと考えていた時に「山尾三省」の「火を焚きなさい」という詩に出会い元気づけられた。直感的に火は最も古いエネルギーで安堵感がある。薪エネルギーは地味で革新的なアイデアでもエネルギー界の救世主でもないが、シンプルで根源的なおかつ原始的すぎず合理的すぎないハイブリッド。山の資源活用については、樹木に合った活用が考えられ、それがカーボンニュートラルへと繋がるのではないか。事業化については原木を買い取ることによって、価値基準の構築をする。用途に合う、顧客のニーズに添う薪づくりをする。燻製用にすればイノシシなどの害獣も資源になる。薪の利用シーンとしてはロケットストーブやかまど、災害時も活躍していた。株式会社にした場合、図のような流れを考えている。規模だが、大きな規模にはならないので、石油の代替として使っていくことを考えた。薪割り仕事を一人でした場合の大まかな計算だが、2日で4本の木を薪にすると1ヶ月で7000kgになり、それを1束(10kg)400円で売ったとしてひと月28万円。人件費などの経費を引いて年間84万円の利益になる。
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長谷川さん:
感動した。最初のスライドに「めんどくさい」とあったが、スタジオジブリの宮崎駿さんが「大事なことはたいていめんどくさい」と言われているように、大事なことは「めんどくさい」もの。「めんどくさい」ことを自分達でどうやっていくかというミッションを含んでいるように感じる。藻谷さんの著書「里山資本主義」の原価ゼロという発想があると思うが、薪は水分量がすごく難しく、これをどう管理していくかという課題があるため、原価はゼロではないかもしれない。しかしこれをすることで広がりができそう。使われていくイメージをもっと出したら良かったと思う。

井上さん:
とても感動した。個人的な事だが、趣味がキャンプで薪を使っている。自然に触れる生活環境が少なくなっているので、自分の子どもにそういった経験をさせたいという気持ちがある。この事業プランは非常に夢があり、販売されたら個人的に顧客になりたい。金融機関としての意見としては、事業性といったところがまだ不十分。計画にあった、薪を利用したライフスタイルの提案などに協力して頂ける人を募っていくという事が一番の近道なのかもしれない。薪を販売している事業者はいるが、トータルでプロデュースしている事業者は少ないので、付加価値がつくのではないか。

勝屋さん:
すごく良いチームだと思う。自分もプロフェッショナルコネクターという職業を作り、やっているが何とかなっている。なぜかと考えたら、自分がやりたいという欲求があるから。だからやりたいことをやったら良いと思う。ただ、薪の事業の中で何を一番やりたいのかを考え、それを客がどう喜んでくれるかを試してほしい。この過程にビジネスチャンスがあると思う。ピュアな気持ちでやろうとしているので、十分可能性があると思う。

北村さん:
「新エネルギー」という定義は太陽光などの新エネルギーという他に、既存のエネルギーの新しい利用方法も含まれている。新しい利用方法として使われるという事であれば「新エネルギー」の対象範囲に入るのではないかと思う。今回のプレゼンで非常に面白いと思ったのは、薪の色々な用途があったこと。これをいかに認知させて高く買わせるか。まずはこういう使い方があるということを提案して、事例を積み上げていくことが大切かもしれない。

「小さな効率的な安価な森のエネルギー活用プロジェクト」(リーダー:勝部祐司さん、発表:山田さん)
島根県雲南市を想定している。地域課題として森のエネルギーが地元で眠っていて活用方法が確立されていない。木質バイオマス発電が県内で計画されているが地元利用と相入れないというのがある。コンセプトは一人一人が気軽に参加でき、手に木を持って炉に運ぶというもの。当初は熱も電気も使いたいと思っていたが、電気は厳しいので、熱に絞った。事業目的は小さな燃料を集めて、効率的に使い、エネルギーの地産地消を実現すること。市民が庭の木などの燃料を薪ボイラーを導入したスーパーやコンビニに持ち寄り、協力の対価をもらうシステムを構築する。市民、店、行政それぞれのメリットについては、市民は庭がきれいになる、買い物が安くなるなど。店側のメリットは燃料費の削減、協力の対価の利用券などによる客足の増加、冬場の顧客確保など。行政は新規雇用の創出やバイオマスタウン化という地域の付加価値がある。リスクの低減・回避としては助成制度を活用することを検討。事業採算性を検討したところ7~8年後で初期投資回収ができると理想的だと思う。そこからおおまかに試算したところ、初期コストとして建設費が400万円、内3分の1を補助金で賄い、運営コスト(支出)としてメンテナンス費用、普及啓発費、割引券等発行)と運営コスト(収入)は増収見込みと燃料コスト削減があげられる。この結果を市の関連部署に持って行き、実際にできるか検証してもらい、協力・連携がとれるようにした上で、システム全体の精査をしつつ展開を練っていきたい。

<質疑応答>
参加者:スーパーやコンビニにつけるボイラーは何のための熱源供給をするのか?
回答:給湯と冬場の暖房を考えている。

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北村さん:スーパー、コンビニに集めて、その場で使うのか、それともさらに誰かが一ヶ所に集めて使うのか?
返答:その場で使うことを考えている。将来的に便利な方法があれば、集まったものを他の場所で利用することも考えられる。

審査員からのコメント
長谷川さん:
一人一人が手に木を持ち寄ってというのは理想的で良いと思ったが、最終的に営業が大変だというストーリーに終わったのは残念。地域の人たちはどこへ行ったのか。人の顔が見えるようなスタートを想定してのプランニングだったが、最終的なゴールがビジネスプランニングになっていた。確かにビジネスプラン発表の場ではあるが、もっとプロセスを聞きたかった。(返答:昔は山に仕事に行った帰りに何か生活の役に立つものを持ち帰っていた。こういったイメージで、まずは山から離れている人の心を山に戻すために、山の木をスーパー等で使用し、そこから自宅での薪ストーブ等の利用につなげていくという発想でこの形になった。)

井上さん:
何の熱源として使うのかといったところで、設備設置のコストとの兼ね合いだと思うが、年間を通して使えるボイラーでの収益を見込むという事であれば年間を通して計画が必要。お金をかけないシステムでとあるが、持続可能性という事を考えると事業の収益を見込む必要があると思う。

勝屋さん:
チームの人数が多いので意見の調整や資料作成などが大変だったろうと感じた。残念に思ったのは、「楽しさ」という要素があまり伝わってこなかったこと。だいぶまとめてきているので、「楽しさ」のエッセンスを入れるとさらに良いと思う。

北村さん:
薪がどの程度集まるのかが計画に組み込まれていなかったのが惜しかった。各店舗に持参してもらうより、一ヶ所に集めた方が効率的で店舗側にもメリットがあるかもしれない。回収量の目処がたたないと、複数社で進めるべきか、一社で進めるべきかの評価が難しい。また、営業をかける際にも、一社に絞った方が他の店舗との差異が出やすくて良いかもしれない。

<追加コメント>
参加者:
雲南市は温泉施設すべてにペレットボイラー(バイオマスボイラー)を採用しているので、そこに木を持ってきてもらい、破砕機を作って、通常燃やしている燃料と混焼して利用するというのはどうか。薪を5kg持ってきたら入浴料無料とかであれば楽しさなどが出るのではないか。

返答:このプランの一番のコンセプトは地域づくり。地元商店のメリットが少なく、大型店に客を取られてしまう。この打開策として買い物ついでに薪を持って行くことで何らかの特典が受けられたら割安感が出ると考え、まず店にボイラーをと考えた。また、一ヶ所に集めた方が効率的ではないかという意見があったが、足りない分はグリーンパワー雲南で薪を供給するということを考えていた。

「3本の風車」(リーダー:櫛野伸介さん)
地域資源である「風力」を活用して、地域の活力の向上及び持続的発展を図る事業を展開したい。漁業協同組合に事業主体になっていただき、漁港の洋上に2500Kw型風車を3基設置し、風力発電事業の収益を地域に還元していくプランを描きたいと思っている。具体的には、漁業協同組合がSPC(特別目的会社)を設立しそこに出資、また地方金融機関が融資し建設、発電する。この発電した電力を中国電力に20年間買い取って頂くというスキーム。成長戦略として山陰地方は漁港の風車という実績がないため、初年度は1つの漁港に3本の風車を建設し、事業採算が見込めることを立証して、他の漁港にも建設していきたい。風車が増えるほど、収益の改善、リスクが小さくなると見込んでいる。市場分析として、今太陽光発電がブームだが、今後洋上風力発電に移っていくのではないかと予想している。顧客分析としては発電した電力を20年間固定価格で買い取ってもらえるというのは大きなメリットだと考えている。また、競合分では、大手事業会社が大規模な洋上風力発電事業を計画していくと思われるが、漁業権の問題、地域の反対等により、計画を進めていくことは困難だと予想される。一方、このまちエネ大学のグループの漁業協同組合と一緒に推進していこうという計画は、地域の理解と協力を得て、事業を安定的に継続できるのではないかと考えている。収支計画は、洋上風力の固定買取価格、定義が定まった時点で明らかになるが、再生エネルギーの固定価格買取制度は、制度として適切な事業計画であれば、事業者の利潤を見込んだ価格設定がなされるので、収益の見込みはあるものと考える。
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<質疑応答>
勝屋さん:これは誰の何のための計画なのか?
返答:一番は地域の漁業組合。近年の漁業組合は高齢化や水揚げ量の減少などで苦しいのでないかと思うので、発電による安定的な収益を上げていければと考え、それに協力できたらと思っている。

参加者:説明の中に法規制で建設できないというのがあったが、山陰や隠岐地域のジオパーク認定されているところなどは建設できないのではないか。
返答:法規制はかかっているが、規制のない漁港はいくつかある。

参加者:環境アセスメントの問題があると思うが、そこをどうやってクリアしていくのか。
返答: 3本の風車で7500Kw以下であれば対象外になる。ただ、環境アセスメントがなくても騒音の問題等があるので、そこは地域住民に説明し、理解して頂く必要があると考える。

長谷川さん:
「3本の」とする意味は?(返答:風車は壊れる場合があり、3本立てることによって、1本が故障したとしても残りの2本で銀行への元利返済ができると考えた。)事業計画の中に、もっと具体的に地域や人の顔が見えるものにしていって欲しい。これをすると皆ハッピーになれるといったことが出てくるとさらに良い。銀行に対してはリスクヘッジの視点から1本壊れても他2本あると説明したら良いと思うが、一般の人にプレゼンテーションする際は、もう少し人を意識してストーリーを描いた方が、未来像が共有しやすく共感を得やすいと思う。

江木さん:
島根県は風車がかなり多くあるが、県外の大手企業に収益を持って行かれている。そのような中で地域を盛り上げていこうといった提案はありがたい。3基で7500Kwということなので買取価格1Kwあたり35円ぐらいでイメージしていると思うが、そのあたりを北村さんに聞いて、実際の事業計画をみて一緒にやっていけたらと思う。

勝屋さん:
よい声で、すばらしいプレゼンテーションだった。今勤めている会社を辞める必要は必ずしもないが、辞めてでもやるという程の意気込みや想いを確認したいと思った。

北村さん:
資源エネルギー庁から情報提供と、他の事例の紹介をしたい。洋上風力の価格等の設定を現在、調達価格等算定委員会で議論している。そちらの進捗状況で、こちらの事業計画の収益が決まるのではないかと思う。福島で洋上風力が進んでいるが、一番難しかったのが漁業協同組合だった。洋上風力建設の場合、海が荒らされるのではないかという懸念をもたれがちである。それを配慮した上で、この事業の良さやビジョンを説明することが重要だと思う。漁業組合を事業主体にということだが、出資できる体力があるかといった問題も含め、誰がこの事業を引っ張っていくのかを具体的に見定めてゆく必要がある。

「お・と・な・のオフグリットクラブ推進事業」(リーダー:葦矢崇司さん、発表者:上園さん)
今の世の中は「普通」が多様化しているが、その中でこのチームの変人達が一番「普通」から離れたいと思っているのが、エネルギーの問題。ガスを使えばいいのにわざわざ炭をおこして魚を炙ったりする「変人」は、ある晩、災害等について考えたとき、現代の便利な生活はかなりリスキーだと考えた。島根県の1世帯当たりの光熱費・ガソリン代をだいたい年間30万円とすると28万世帯で840億円がエネルギーに費やされている。これは案外大きな数字だ。このお金が全部外国に流れている。このお金を地域で循環できればリスクも減らせて良いのにとの思いから、じゃあこのシステムからオフグリットしてしまおうと考えた。地域の資源を地域の人が使うということがもっとできたら良い。そんな変人の仲間をもっと増やして行けたらエネルギーも経済も地域の中でうまく回っていくのではないか。そういった考えを持つ変人を増やしていこうというのがコンセプト。実際に来年度ある地域で具体的に進めていこうと考えている。廃園になりそうな過疎の幼稚園を存続させていくために、ソーラーパークを作ってその売電収入で支援したり、都会の人にも出資してもらい、都市と地方との結びつきを増やしていきたい。そう遠くない未来(20XX年)には、島根県が再生可能エネルギーを利用して、うまく地域の中でお金を循環させ、地域の人がハッピーになれる地域になることを目指して活動していきたい。

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<質疑応答>
北村さん:過疎の幼稚園に設置するということか、それとも売電収入の一部を使って活性化させるのか?
返答:幼稚園の敷地に設置し、そこで発電をしてその売電収入を活性化に使って頂きたい。そこを拠点として変人を増やしていくための環境教育などをしていきたい。一ヶ所だけでなく複数ヶ所に作っていけたらと考えている。

審査員コメント:
長谷川さん:
前から面白いと思っていた。既成概念ではもう次のステージにはいけない。そのような中でどう価値観を変えていくか。島根県には「わがことだよね」という言葉がある。一人一人が自分のこととしてとらえていかないとエネルギー問題は解決できないのではないかと思う。自分のこととしてとらえる変人が千人できればものすごいパワーになるのではないか。そこで「変人」「オフグリット」でネット検索してみたところ、3位にこのグリーンパワープロジェクトのウェブサイトが出てきた。これはすごいことで、SEOを駆使してもなかなか引っかからない。また、プレゼンのスキルも高いと思った。ビジュアライズ化されたものがあってそこから思いが伝わってくるのは、とても人の心を打つと思った。未知数だけど素晴らしい未来に繋がると良いと「わがこと」で思っている。

井上さん:
新しい発見をさせて頂いた。エネルギーに関しては規模感等を採算性や収益性を加味して考えると、本当に小さなものがそれに叶うかどうか。この辺りはコストの関係があるので一筋縄でいかないと思うが、資金調達の方法として市民ファンドなど、以前より幅が広がっているので、うまく活用して頂けたらと思う。また、地域の他のエネルギーの可能性を考えてうまく使えば、これまで発表されたチームと一緒になってできる部分があるのではないかと思った。

勝屋さん:
こういうプランは大好き。変人を世の中に伝える手段としてウェブサイトを作ってみるのも面白いと思った。ただ変人ということではなく、コンセプトを持たせてこのチームのストーリーにはまるようにする。そうすれば仲間がちょっとずつ増えてくると思う。東京のまちエネスクールの鈴木さんという方がまちエネグランプリというグループを作っていて、同じようなコンセプトで、皆さんの作ったコミュニティが全国的に繋がったら楽しいと思う。

北村さん:
今回の事業プランのところで中規模程度の太陽光の事業を提案していたが、この時、合わせて自給自足を学ぶアグリパークなど、設備物だけでなく地域とのつながりを見える化するような提案ができると良いと思う。太陽光パネルというのは設置してもそれがどういったところに貢献しているのかは見えにくいので、そこのおもしろい見せ方というのは色々工夫のし甲斐があると思う。また、こういったプランがいくつも出てくる際に、事業を展開する上で他の市民ファンドとの差異になると思う。

「スマートグリットプロジェクト」(広瀬さん)
具体的な事業計画作りは遅れているが、参加させて頂いたことで色々な勉強をさせて頂いたし、すばらしい仲間にも会えた。スマートグリットという概念を知ってそれを具体的に自分の仕事と絡めることができないかと考えていた時に、まちエネ大学のことを知って、具体的なアクションにつなげられないかと参加させて頂いた。エネルギーオタクのような人達と話している内にどんどんアイデアが膨らんでいって、最終的にエネルギーを作り使い、そこに住む人達が面白おかしく便利に過ごせるようなものをコーディネイトできたらと考えている。今後、必ず形にしていきたい。
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長谷川さん:
チーム二人との出会い、この会場の皆さんとの出会いがエネオタの始まりではないかと思った。事業を進める上ではいろいろな困難も起こる。プロセスを大事に積み重ねることが大事であり、今後に期待したい。

各グループからの発表を受けて、審査委員の方から総合的なコメントをいただきました。
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北村さん:
色々なビジネスプランが生まれたと思う。時間が短かったのもあってビジネスに至るまでにするのは難しかったと思うが、ここで持っている気持ちを大事にしてもらって、どういったゴールを目指すのかを色々話し合って進めて頂ければと思う。

勝屋さん:
時間がたつにつれ皆さんの熱い思いを益々強く感じとった。これはこれまで地域ファシリテーターを担ってきた長谷川さんの力が大きいと思う。同じように興味がある人たちと出会う場、その場を楽しむことが大切だと思う。その中で自分と再エネということに向き合うことで葛藤が生まれる。葛藤は次へのステージへの切符。葛藤がないと成長しないので、どんどん葛藤を感じてそれをチャンスだと思って頑張ってほしい。応援しています。

井上さん:
キーワードとして「地域」や「教育」という言葉が出てきたのに感銘を受けた。「教育」ということで、若い世代が日頃から「再生エネルギー」などに馴染んでいくことによって、彼らが大人になって子どもを持った時に自然とそういったことが生活に入っている社会が実現される。その突破口を皆さんが担われているのではないかと思っている。金融機関としてお手伝いできることがあれば全面的にサポートさせて頂きたいと思っている。

江木さん:
再生可能エネルギーは専門分野ではないので、皆さんが一生懸命考えられたことに対して、融資や審査についての判断を直ぐに行うことはこの場では難しいが、皆さんが真剣にしている姿を見て、自分に磨きをかけて、お答えしていきたいと改めて感じた。是非、頑張ってください。応援しています。

長谷川さん:
今回山陰の地域ファシリテーターをさせて頂いて非常に勉強になった。今、会社を経営しているが初心に帰らないといけないと思った。自分や地域、人がハッピーになるというのが私の企業の原点。皆さん自身がどうハッピーになるのか、誰かに喜んでいただける流れになると素敵だと思った。色々な地域に出かけて行って、このご縁をさらに深く広く伝えていって頂いたら良いと感じた。

グリーンパワープロジェクトのプロデューサー、金田さんからもコメントをいただきました。

「それぞれの地域ごとに特徴があり、日本は多民族国家なんだと感じた。その中で思ったのは、人そのものがエネルギーなのではないかということ。今ここにいる皆さんそのものが無限の再生可能エネルギーを発し続けるエネルギー体になっていただくことが、これからのすべての成功の秘訣ではないかと思う。エネルギーを発し続ける秘訣として、幸せなイメージをすることが大切だと思う。誰をどういう風に幸せにしたいのか、皆さん自身はどういう風に幸せになりたいのかを明解にイメージして頂いた上で、アクションに移して頂けたらと思う。強く幸せなイメージが皆さんのエネルギーの源泉になると思う。楽しみにしています」

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この後、各チームのリーダーに修了証書を授与し、記念写真を撮って山陰スクールの今期の授業は終了しました。今回発表した以外にも、受講生の皆さんはたくさんのプランやアイデアをお持ちです。今後この地域からいくつの事業が実現していくのか。ますます楽しみです。

北村さん:
収益性について。この規模だと発電ありきの事業モデルでは厳しいと思うので、ベースを確保し、熱源をその地域でどう活用するのかを考える必要がある。お湯の使い方がポイント。地域にいかに貢献するか。見えることをしないといけないと思う。