宮城・仙台スクール プラン発表会、再エネ街灯プロジェクトが優秀賞に!

  • 2015.02.02
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12月12日(金)、再エネを活用したビジネスプランを作る「まちエネ大学」の最終回となるビジネスプラン発表会を、仙台市情報・産業プラザで開催しました。

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最初に、地域ファシリテーターのトーマツ・清水さんと事務局・木村からこれまでの経緯の説明、審査員の紹介があり、その後さっそく各グループの発表に入りました。

審査員は以下の3名の方々です。

  • サステナジー株式会社代表 山口勝洋氏
  • 七十七銀行地域開発部長 目黒康達氏
  • 七十七銀行審査部審査課 三浦麗佳氏

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以下、各グループの発表の概要と審査員からのアドバイスです。

「エネルギーと食と間伐材の自給プロジェクト まちエネeco(行こう)ステーション」(澤井仁さん)

震災の経験から再生可能エネルギーを使った地域の再生を目ざし、ワンストップで「再エネ」に会える場づくりをする。集い、話し、学ぶ場づくり。太陽光発電・風力発電、メタン生成装置ガス灯、バイオマスエネルギーなどに約1,000万円かかる。再エネ講座やワークショップを行い、人材を育成してさらにその人たちが講座を行い地域再生の主役となる場を作る。

協力企業を探し、それぞれ商品展示販売、セミナー・運営アドバイス、補助金・資金調達を依頼し、場を実現する。再エネを学び体験することで人材を育成できる。育った人材が社会貢献できる。

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<審査員アドバイス>

各論は問題ではないが、いろいろな助成・委託事業等を獲得していくか、非営利でボランティアベースでやっていくかが問題。銀行から資金調達をするなら、どういうところで収入を得て事業としていくのかをはっきりさせたほうがよい。

周りに事業を広げていく発想がすばらしい。ただ、今回のプレゼンでは事業性としての収入が読めないので、その辺を詰めるとより良くなる。

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審査員の七十七銀行地域開発部長・目黒氏

「地域密着型メガソーラー 暮らしやすいふる里田尻に住める20MW」(菅野宏史さん)

田尻の課題は人口流出。高収入で安定した仕事が少ない。地産地消のエネルギーとして丘陵地の遊休農地に太陽光パネルを設置する。太陽光パネル50kW(150坪)で153万円/年の収入が見込める。将来的にはバイオマスや小電力発電等に広げたい。農地転用の許可申請の難しさが課題。もう一つは高額の設置費用。スケールメリットで下げたい。また住民の理解やNPOを設置するなどして地域で動いてもらうことも課題。

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<審査員アドバイス>

まずはスタート。実際には手元に残る金額は少ないので、長期的思考で回収するつもりであればよい。当面具体化するには土地の確保、地域の協力などが必要になる。土地と系統連係などが確保できれば続けられる。

地方創生の発想が念頭にあるのがよい。ある程度収入のある雇用を創出するのは利点。自治体との連携を考える。農地転用に目を向けているところがすごいと思った。難しいからこそどうするのかの発想がよい。売電をしたりするだけでなく雇用を生み出す考え方がよい計画。現実化には支出でメンテナンス費用などを詰めていく必要がある。

「エネルギーと食の自給を目ざす再エネレストラン」(乗田和志さん)

「自然」と「人」のエネルギーの復活

震災から立ち上がっていく東北がどうあるべきかを考え、再エネの導入、防災モデル、心のふるさととしての存在から、再エネ発電と食の自給をめざすレストランに行きついた。再エネ、自家栽培、レストランの取り組みだが、特色はシェフにある。被災者シェフ、若者シェフ、引退シェフ、有名シェフなどに週替わりで働いてもらう。

泉区南中山を想定。8kW の太陽光発電を設置。初期費用320万円くらい運転費用や年間発電量などから資金回収は15年くらいか。別途運営会社を設立し、仕入等を行う。地域における自然と人のエネルギーを何度でも再生・復活させるレストランとする。

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<審査員アドバイス>

エネルギーは一つの味付け。レストラン事業の足かせにならないように。経済性の評価としては太陽光発電の余剰が出ないと厳しい。事業計画全体がきちんとしたコンセプトで作られている。行きたくなるようなレストランの計画である。地元の野菜などを使うのであれば被災時に地元の人に還元できるように考えて欲しい。レストランの収益をもっと考えていくと複合ビジネスとして成り立つ。

営業時間が長くて大変。平日お客が来なかったりすると固定費が負担か。コンセプトは良くできている。

「復興の街灯プロジェクト」(高荷聡子さん)

津波被災地の通学路に街灯を設置しよう。被災してわかったことは、電気は電線に依存しているから被災に弱いということと、暗いと人は動けないということ。

学校から半径1~2kmのところに提灯型街灯とLEDテープライトを設置する。子どもたちにワークショップで手作りしてもらう。手作りキットの販売事業とワークショップ事業の2本立て。ワークショップ参加費24万円、広告収入56万円、自己資金10万円を見込む。

再エネを利用するため電気代が不要。独立型電灯なので移動可能。子どもの環境教育に貢献。 南蒲生や仙台市内の小学校と交渉し協賛企業を募って準備したい。将来的には学校ゼロエネルギー化推進方策への貢献や街全体のスマートコミュニティの実現をめざしたい。

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<審査員アドバイス>

広く多くの人に役立つアイデア。収益事業というよりは復興プロジェクトとしてすばらしい。内容的にはむしろ自治体がやるべきことなので自治体とは強気で話してよい。提灯に広告をいれれば結構広告費も見込めるはず。

「栗原市内でのエネルギーと食を自給できるビジネスホテル」(阿部功さん)

「まちエネホテルinくりはら」

資源循環型宿泊施設で人に地域に環境にやさしく。伊豆沼から3kmの距離で観光名所となっている。立地から海の幸、山の幸を使った料理を提供している。体験、見学、施設、カフェ、生ゴミリサイクル、太陽光発電、井戸水利用といった人、食、自然の3つの循環をベースとする。

栗駒山や伊豆沼へのエコツーリズムも合わせて計画。太陽光発電18kWh事業総額13百万円、電気料金38万/年の削減を想定。既存のホテルがあるので初期投資が低く、競合が少ない地域、ノウハウ経験があるのが強み。

モデルプラン「くりはら自然発見・体験ツアー2泊3日の旅 ¥39,800」

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<審査員アドバイス>

ホテルがベースにあるので再エネと食の自給を加えるという位置付け。太陽光発電は独立型にすると現在の電気系統と別の系統を組まなくてはいけないので、こだわりがなければ系統連係で利用したほうがよい。

雇用創出の点で評価でき、観光も加わっているところがよい。空港民営化で宮城を活性化するためにも自治体とも連携していくとよい。資金計画もしっかりしている。補助金などもきちんと調べていたのがすばらしい。すでに実際に事業をしているので収支計画も細かく現実的。

「再エネコミュニティカフェ 風土」(樋口ふみさん)

震災でライフラインが全て止まったことを機に再エネを中心に若者などが移住できるようなコミュニティカフェをめざす。暮らしの自給自立をめざした女性や若者の想いを形にする。自分が現在やっているアトリエをベースにオフグリッドの太陽光システムを導入する。

田舎暮らしの相談会、勉強会、マルシェなどから始める。すでにあるアトリエにプロジェクトの拠点を置くことで初期費用が抑えられる。運営の持続性をテーマとしていきたい。自分たちと相談者の息の長い関係性を築いていきたい。

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<審査員アドバイス>

すでに具体的な場所がありベースがあるのがすばらしい。テーマが日本の社会の課題そのものなので、ここに人があつまり田舎に移住できるような形になるとよい。多くの人に田舎暮らしの良さを伝えられると良い。

地方活性化の問題にこのプロジェクトは有意義。コンテンツの提供やマッチングがビジネスになるようにして欲しい。他のプロジェクトとも連携しながら具体的なプランニングをできるとよい。食やエネルギー、暮らしというテーマに着眼しているのがよい。

「福島県相馬市内で高齢者も参画できるソーラーシェアリング事業」(大内雄蔵さん)

「再エネで元気を作る」

震災以後、再生可能エネルギーは注目されているが高齢者は恩恵を被っているとは感じにくい。こうした高齢者に再生可能エネルギーの恩恵を届けたい。44kWの太陽光発電を想定。発電事業、農業、高齢者支援事業の3つに分かれている。ソーラーシェアリングにより発電し、その下の土地で陰性植物などを栽培・販売し、高齢者の雇用を創出する。タマリュウ・ヒサカキの2種類を想定。あまり収益性はないが、なんとか黒字にできる。収入が太陽光発電の売電益以外にもあるので日照が悪くても調整可能。高齢者支援で地域貢献できる。

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<審査員アドバイス>

財務諸表はオーソドックスなものを使った方が間違いない。再エネと高齢者支援を結びつけているところが評価できる。農業の収益性の面で、漢方薬など付加価値の高いものを考えたり、6次産業的なことも考えると収益があがるのではないか。

コンセプトはとてもよいので、始めた後で事業を拡大したり付加価値の高いものに変えていったりするとモチベーションもあがっていく。

以上7チームの熱のこもった発表が終わり、参加者と会場の傍聴者も含めて良かったと思うプロジェクトに一票ずつ投票し、その後審査員の投票も加わって集計しました。

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青い付箋は受講生から各チームへのギフトメッセージ

集計の間に審査員の総括をいただきましたが、「ブームのようになったソーラーシステムを取り上げるところが多かったものの、使い方が多様であり楽しい発案が多かった」「地域の活性化や再エネと何かを結びつけているものが多くすばらしかった。これからぜひ実際の事業に結びつけて欲しい」「たった4回の集まりの中でしっかり事業の発表までいけたことがすばらしい」といったコメントがありました。

そして、いよいよお待ちかねの優秀賞の発表です。優秀賞は「復興の街灯プロジェクト」が受賞しました!

代表の高荷さんからは「優秀賞は思いがけないことでしたが、まちエネ大学を通して学んだことをさらに高めてこれからも学びながら着実に進んでいきたい。皆さんとのこのつながりを大事にしたい」とのお言葉がありました。

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高荷さん、優秀賞おめでとうございます!

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この後、参加者のみなさんに修了証が手渡され全ての講座が終了しました。みなさん、本当にお疲れさまでした!