滋賀スクールも本講座スタートしました!

  • 2013.11.25
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まちエネ大学滋賀スクールは11月18日、第1回講座を迎えました。当日は3人のご欠席を除きすべての受講生の皆さまにご参加いただき、プレイベントの熱気そのままに、和やかな雰囲気で始まりました。

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本講座からは、地域のファシリテーターによって運営されます。滋賀スクールのファシリテーターは、南村多津恵さん(くうのるクラスの創造舎)と伊東真吾さん(市民エネルギー京都)のお二人です。

講座の冒頭、一橋大学イノベーション研究所教授の米倉誠一郎さんからの応援メッセージを視聴した後、南村さんの進行で手拍子による自己紹介タイムとなりました。どんな人が、どこから、どんな立場で、どんな思いで参加しているのかを、みんなで知り合うことができたと同時に、みんなの手拍子を合わせることで、会場の一体感が一気に高まったようでした。

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ファシリテーター・南村さんの自己紹介パフォーマンス「パーでんねん」は、滋賀スクールの名物になりそうな予感!?

前半の最初は、経済産業省資源エネルギー庁の村上敬亮さんと中島裕美さんから、再生エネルギーの概論についてレクチャーをしていただきました。

村上さんからは、本論に入る前に、プレイベントを終えての各地域の印象をお話しくださいました。滋賀スクールは「横のつながりを得意としている方は多いと感じたが、一方で、自分たちと違うタイプの人たちとも手をつなぎ事業化していくという点が課題だと感じた」とのこと。その上で、このまちエネ大学では、事業計画を作り上げること以上に、小さな違いで対立しないで手をつなげることを探していく「大同小異」の行動原理を身につけること、そして「こういうメンツが集まればこういうビジョンができるんだ」という実感を体験することを大切にしていただきたい、とのメッセージをいただきました。

また、映像資料を振り返っての中島さんからの説明に補足し、次の3つのことについても認識してほしいとお話しいただきました。
1)固定価格買い取り制度は国民負担で成立している制度であること
2)固定価格は、普通にやれば事業として採算がとれる価格に設定していること(補助金に頼らず取り組んでほしい)
3)事業をするといことは電力事業者になるということ(きちんと勉強をして電力会社への接続協議にのぞんでほしい)

その後、あまり一般的には知られていない、再エネ普及に向けた技術的な課題(調整力(LFC)、下げ代、電圧カーブなど)について、解説いただきました。

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その後の質疑応答では、参加者からこの日の新聞報道に絡んで「政権が変わっても20年間、買い取り価格が本当に維持されるのか」との質問が出され、村上課長は「FITはなくならないが、10年後に買い取り価格設定のあり方については議論すべき」とコメント。
また、FITの枠組みではないものの、持続可能なエネルギーのあり方として欠かせない熱利用の施策についての質問もあり、「熱利用についての補助金(再エネ熱利用加速化支援対策補助金)約40億円については今年度、創設以来初めて使い切りそうだ。来年度も同額を要求する予定なので、年度の前半にお申込みいただくことをお勧めしたい」(同)と説明して下さいました。

次に、全国の再エネ事業のパイオニアからのミニレクチャーとして、長野県飯田市のおひさま進歩エネルギー株式会社の原亮弘さんからお話しいただきました。
現在の取り組みやこれまでの歩みについてお話しいただいた後、「(再生エネルギー事業は)苦労も課題もいっぱいある。でも、やりがいがある」「損をしないようにすることが大切で、そのためには徹底的にリスクを洗い出すことが大事」だと教えて下さいました。そして最後に、「それでもどうにもならないことがある。でも、そこはチャレンジです」と、参加者のみなさんを励まして下さいました。

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質疑応答では、「自治体とどうやって信頼関係をつくってきたのか」「再生エネルギー条例ができたことで何か変わったことはあったか」「地域の自治会との関係はどうつくってきたのか」「太陽光パネルの経年劣化はどの程度見込むのか」「省エネ事業の内容について詳しく知りたい」など、地域の関係者との信頼関係づくりや技術的なことについて、熱心な質問が相次ぎました。

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休憩を経ての後半は、グループディスカッションを行いました。エントリーシートの内容を基に、関心や地域などで8つのグループに分かれ、互いの想いを語り合い、どんな事業計画づくりを目指すかを議論しました。

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各グループでの議論の結果発表では「孫子に続くような事業をつくっていきたいという話が出た」「いろんな専門を持っている人が集まれていていい計画ができそう」「お金をいかに地域に回すかが大事だという認識になった」などの発言がありました。

最後に、原さんからは「再生エネルギーは地域のものだという認識に立って、市民が主体的に取り組むことが大事だと思います」、村上課長からは「物語があるといいな、と思います。再生エネルギーとどんな物語を抱き合わせていくのかを考えてみてください」とのメッセージをいただき、第1回の講座は終了しました。

終了後は、びわ湖のほとりに立つオーガニックカフェ「なぎさWARMS」に会場を移して懇親会を行いました。「異業種交流の力を感じた」「これまで自分の中で決めていた限界をこえられそうに思う」「今日集まれたメンバーで3つくらい事業が立てられそうだと思った」「小さなことから形にしていきたい」などの発言がありました。
互いに出会い、想いを分かち合い、学び合うことを通じ、参加者の皆さんがそれぞれにさまざまな可能性を感じていられる証だと思います。

懇親会の最後には、村上課長から懇親会にご参加いただいた方々にスペシャルメッセージがありました。

1.モノの地産地消よりお金の地産地消に視点を置いてほしい-現在の地方銀行は地元への与貸率が低く、地域の資金が地域で回っていない。再エネ事業に取り組むことで、地域の資金を地域で回せるようになる。

2.「地域とまり木」をつくってほしい-みなさんそれぞれ、事業化に向けてはいろいろな壁が立ちはだかる。そういう時に力なるのは別の地域で苦労して頑張っている人たちの存在。全国あちこちにそういう仲間の「とまり木」があれば、互いにつながり合える。滋賀もその一つになってほしい。

3.「離陸速度」をつかんでほしい-事業化することは飛行機の離陸に似ている。ただ翼を広げても助走がなければ飛べない。でも、助走だけしてもいいタイミングで翼を広げなければ滑走路を駆け抜けてしまって終わってしまう。だから「離陸速度に達してテイクオフする自分」のイメージを常に意識して、取り組んでいただきたい。

さらに、地域ファシリテーターの伊東さんからは「初動エネルギー」というキーワードを絡めつつ「小型水力発電では、タービンを動かし始めるための初動エネルギーが必要。まさにこのまちエネ大学も、みなさんの事業化に向けた初動エネルギーを得る場だと思って、そのエネルギーが得られるように取り組みたい」とのメッセージをいただき、一同大きく頷きました。

第2回は全国で再エネを絡めた地域活性化プロジェクトを応援する大和田順子さんをゲストに招いて、事業計画づくりを始めていきます。まちエネ大学滋賀スクールに集った多様な人々の想いや力が、これからどんなふうにつながりあい、事業という形になっていくのか、今から楽しみです。

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