宮城・仙台スクール第2回講座、再エネ×●○を探すグループワークが白熱

  • 2014.10.14
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10月3日(金)、まちエネ大学宮城・仙台スクール第2回講座を開催しました。9月の第1回講座で事業の概要について学び、事業化に向けた各テーマ案を出して大まかな方向性について確認した参加者が、いよいよこの日から具体的な計画について考えていきます。

この日もトーマツ・清水毅さんによる進行で、冒頭ガイダンスの後、岡山県真庭市で地域をあげたバイオマス発電事業を始めた銘建工業株式会社の中島浩一郎社長にお話しを伺いました。中島社長からは、以下のようなお話がありました。

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・木材には可能性があり、六甲山も100年前には森林利用が盛んでほとんどハゲ山だった。最近の日本では木材利用は減っていすが、本来エネルギーは山からくるもの。西洋は石の文化と思われがちだが、17世紀のロンドンは9割以上木造だった。昨年出版された「木材と文明」という本によると、ヨーロッパの文明は木材だったとのこと。燃料(原油)は80円/ℓ近い価格となっていて、これに頼っていては産業は成り立たない。

・銘建工業株式会社は大正12年創業。30年前からバイオマス発電を行っており、来年4月から1万キロワットの発電所を始める予定。

・日本では現在木材の15%くらいしか使っていない。木屑、かんな屑をうまく使わないと木を使ったことにはならないし、採算も合わない。全てを使い切る仕組みを地域全体で考えていくことが大事。

・製材所は日本中で危機的状況だ。地域全体でバイオマス利活用の仕組みができているのはヨーロッパであり、日本国内ではまだほとんどできていない。

・銘建工業では、かんな屑を機械で木質ペレットに加工している。多少水を加えるだけですぐできる。国内ではまだあまり売れないので、現在は韓国等に輸出している。

・木材は大量に水分を含んでいるため、発電量を増やすためには、いかに水分を飛ばすかが重要。出来るだけ乾燥させること。

・バイオマス発電施設を進めるために地域を巻き込んで60億円の投資をした。製材所が29軒あり、地域でやれるベースがあるので、発電所を進めながら製材所も元気にできる。採算という意味ではFITがあることも重要。1990年ごろに仲間で勉強会を立ち上げ、少しずつ進めてきた。

・アメリカでは1961年にケネディ大統領が何の根拠もなく、あと10年以内に月着陸を実現させると宣言し、1969年には現実のものとなった。覚悟を決めて宣言することも重要だ。

中島社長のお話しを受けて、ファシリテーターの清水さんは「地域の現状を具体的な数字で語る」「外部環境の変化を認識する」という2点が地域のリーダーに必要な資質だとコメントしました。受講生からは、日本の林業のあり方から地域での雇用のつくり方まで多彩な質問が出され、中島社長は一つ一つに丁寧に答えて下さいました。

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休憩をはさんでの後半は、いよいよグループディスカッションです。事業プランニングシート、SWOT分析シートを使いながら、約1時間にわたって各グループで事業計画を深めていきました。

以下、各グループごとの発表内容の要約と中島社長のコメントです。

①「栗原市内でのエネルギーと食を自給できるビジネスホテル」

リーダー:阿部功さん

メリットは▼差別化できること▼おいしい新鮮食材▼非常時の拠点にできること。デメリット・課題は、コストの問題(FITも今後どうなっていくのかわからない)。

中島社長コメント…サステナブルな観光はまだまだ日本ではできていない領域なので、突き詰めていってほしい。

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②「再エネ(太陽光と風力)を使った地域防災街頭システム 」

リーダー:高荷聡子さん

テーマは安全な通学路を作ろうという1点にしぼった。学校の通学路に再エネ街灯を作る。インフラ整備なので収入を得るのは難しい。資金獲得は助成金の申請等を行いたい。

中島社長コメント…街灯というのは目立つものなので、こういうもので意識してもらうことは大事です。売電は単純ではないので、次の課題にしていただければと思います。

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③「エネルギーと食と間伐材の自給プロジェクト」グループ

リーダー:澤井仁さん

テーマを“集え!まちエネ エコステーション”に決めた。間伐材を使ってログハウス(12、3坪)を作る。10kwのソーラーパネルをのせる。薪ストーブを設置。生ゴミの回収。再エネの街灯設置など。普段はコミュニティカフェとしながら、非常時には避難所にもなる。運転資金300万円。4人の採用を検討。これを標準化して全国展開する。

中島社長コメント…薪は役立つだけでなく生活も楽しくなります。効果もあるし楽しみもあり防災にも役立つので価値が高いです。

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④「再エネコミュニティカフェ『風土』」グループ

リーダー:樋口ふみさん

テーマは自産自消(食、エネルギー)、生物多様性、持続可能性、循環型、体験(学び合える空間)。地域の方との連携や場所の設定が課題。古民家などをリフォームして使いたい。

中島社長コメント…ここまで認識が高いところが素晴らしい。ぜひ頑張ってほしい。

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⑤「地域密着型メガソーラー」グループ

リーダー:菅野宏史さん

ミニソーラー ⇒ メガソーラーへ。メガソーラーは3億以上ないと出来ない。最初はミニソーラーから始めて大きくしていく。メンバーの工場の屋根に実際にソーラーを設置し発電を始めてみる。

中島社長コメント…震災以後、地域と関係のないメガソーラーなどがたくさんできており、これは異様です。地域の顔が見えるソーラーがよいですね。

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⑥「エネルギーと食の自給を目ざす再エネレストラン」グループ

リーダー:乗田和志さん

メリットはエネルギーと食の自給ができること。東北の郷土料理などで東北の良さをアピール、防災拠点など。課題としては、土地をどこにするか、コストの問題、具体的な規模・予算。市街地の古民家などを探すのが現実的な落としどころか。

中島社長コメント…私の町に若い人が経営するパン屋さんができ、値段はとても高いのですが、おいしく、行列ができるお店になっている。お客さんは価値があればそれだけの対価は払ってくれるのです。

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⑦「福島県相馬市内で高齢者も参画できるソーラーシェアリング事業」グループ

リーダー:大内雄蔵さん

休耕田などを使って高齢者とソーラーシェリング事業を行う。高齢者支援をやることで何か補助等が受けられないかを調べる。パネルの下で陰性の植物を育てて採算のとれるような事業にしたい。

中島社長コメント…自分のところで発電所を作るということが喜びになり、自分も地域も元気になれる取り組みにできるはずです。

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まだ課題は多いものの、どれも良く考えられており夢のある事業企画となってきました。中島社長からのまとめとして「認識が間違っていると前に進めません。仲間みんながどこに向かって何を目指すのかをしっかりと示すことが大事です。地域にあるものを使おう生かそうということと、ネットワークをつないで正しく評価できる人とつながることが大切です」とのお言葉をいただきました。

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最後にファシリテーターの清水さんからも「お客様を意識されたチームがありましたか?なぜお客様は自分のところから物を買ってくれるのかお客様目線で考えることも重要です」とのコメントがありました。次回に向けての課題のひとつですね。

次回第3回の講座は12月12日(金)です。水上貴央弁護士をお招きし、「リスクを踏まえて始めるために今、できること」と題してお話しいただき、各グループの事業計画をより現実味のあるもの昇華させていきます。